【違反多発】マージン率等の情報提供義務
目次
マージンとは
マージンとは、「利ざや」「手数料」などという意味です。流通業界では、販売額と仕入原価の差額のこと、製造業界では、売上高から製造原価を差し引いたもののことをいいます。
人材派遣業では、労働者派遣に関する料金額から派遣労働者の賃金額を引いたものをマージンといいます。
マージン率の計算方法
マージン率とは、労働者派遣に関する料金の額の平均額から派遣労働者の賃金の額の平均額を控除した額を
当該労働者派遣に関する料金の額の平均額で除して得た割合のことをいいます。
労働者派遣事業業務取扱要領によれば、以下のように計算することになります。
前事業年度に係る労働者派遣事業を行う事業所ごとの労働者派遣に関する料金の額の平均額(当該事業年度における派遣労働者1人1日(8時間)当たりの労働者派遣に関する料金の平均額。)から派遣労働者の賃金の額の平均額(当該事業年度における派遣労働者1人1日(8時間)当たりの派遣労働者の賃金の額の平均額。)を控除した額を当該労働者派遣に関する料金の平均額で除すことにより算出する
例えば、派遣料金の平均額が16,000円で派遣労働者の賃金の平均額が12,000円だとすると、
(16,000-12,000)÷16,000×100=25
となり、マージン率が25%ということになります。
マージン率の計算で、小数点以下の端数が出た場合の扱いは、
百分率(%)表記にした場合に、小数点以下一位未満の端数が生じた場合には、これを四捨五入すること(則第18条の2第2項)
とされています。
マージン率の算定は事業所単位が基本であるが、当該事業所が労働者派遣事業を行う他の事業所と一体的な経営を行っている場合には、その範囲内で算定することも妨げないこと(則第18条の2第2項)
このマージンがそのまま会社の利益になるかというと、そうではありません。
派遣社員の社会保険料や派遣社員以外の社員の給与などもここから支出することになります。そうすると営業利益の部分というのは、他の業界よりも一般的には低い水準になります。
(一般社団法人日本人材派遣協会HPより引用)
マージン率「等」とは
派遣会社は、このマージン率その他の項目を公表する義務があります(派遣法23条5項、派遣法施行規則18条の2)。
公表する項目として、以下のものが定められています。
・派遣労働者の人数
・派遣先の数
・労働者派遣に関する料金の額の平均額
・派遣労働者の賃金の額の平均額
・マージン率
・教育訓練(キャリアコンサルティング)
・労使協定を締結しているか否かの別
・労使協定方式を採用している場合は、協定対象派遣労働者の範囲及び当該協定の有効期間の終期
・その他労働者派遣事業の業務に関し参考となると認められる事項
マージン率以外のものが「等」といわれる部分です。
最後のその他労働者派遣事業の業務に関し参考となると認められる事項の具体例として、業務取扱要領に挙げられている事項は
・福利厚生に関する事項
・派遣労働者の希望や適性等に応じた派遣先とのマッチング状況等
としています。
情報提供の方法
情報提供の方法は、インターネットの利用その他の適切な方法により行わなければなりません。(派遣法施行規則
18条の2第1項)。
なお、派遣元指針により情報提供にあたっては、常時インターネットの利用により広く情報を提供することを原則とされているので、インターネット以外の場合で情報提供している場合は、労働局から指導が入る可能性があります。
また、インターネットの利用にあたっては、自社のホームページのみならず、人材サービス総合サイトを積極的に活用することが望ましいとされています。
(参考)
株式会社パソナHPから引用
また、情報提供の公表方法は毎年6月1日から6月30日までに提出する労働者派遣事業報告書で報告事項となっていますので確認が必要です。
労働者派遣事業報告書(第5面より)