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【労務担当者向け】2022年重要法改正・制度改正まとめ

2022年から社会保険の適用拡大や育児・介護休業法の改正など様々な法律や制度が変わります。人事労務担当者向けに注意すべきポイントを整理しました。

目次

労働施策総合推進法(パワハラ防止法)(中小企業:2022年4月1日施行)

職場におけるパワーハラスメントの防止のために講ずべき措置

・事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
・相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
・職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
・そのほか併せて講ずべき措置

 大企業については2020年6月に施行されています。
 厚生労働省が実施したアンケートによると、パワハラを行ってはならない旨の情報発信や周知、相談窓口の設置に関しては8割以上の会社ではすでに対応済みです。
 一方、被害者に対する配慮やフォロー、加害者に対する対処など実際の運営面では未対応の会社が6割以上です。今後は、パワハラが実際発生した場合の社内の運用や対応が課題になってくるでしょう。

事業主に相談等をした労働者に対する不利益取扱いの禁止

 事業主は、労働者が職場におけるパワーハラスメントについての相談を行ったことや雇用管
理上の措置に協力して事実を述べたことを理由とする解雇その他不利益な取扱いをすること
は、法律上禁止されています。

 実際には加害者が上司である場合、会社の中での重要なポジションにあるため、配置転換が難しいとの理由で被害者が異動させられるという実態があります。被害者や相談した方が今後も就労できる環境を整える体制を整備することが急務になります。

改正育児介護休業法(2022年4月1日・10月1日施行)

改正育児介護休業法は、段階的に法律が施行されます。
改正の趣旨は、男性社員や有期雇用社員の育児休業を取りやすくすることにあります。

育児休業を取得しやすい雇用環境の整備(2022年4月1日施行)

➀~④のいずれかを実施してください(複数が望ましい)。産後パパ育休は、令和4年10月1日から施行
①育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施
②育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備(相談窓口や相談対応者の設置)
③自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供
④自社の労働者への育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知

個別の周知・意向確認が必要です!(2022年4月1日施行)

➀~④全てを行ってください。産後パパ育休は、令和4年10月1日以降の申し出が対象
① 育児休業・産後パパ育休に関する制度(制度の内容など)
② 育児休業・産後パパ育休の申出先(例:「人事課」、「総務課」など)
③ 育児休業給付に関すること(例:制度の内容など)
④ 労働者が育児休業・産後パパ育休期間において負担すべき社会保険料の取扱い

さらに、これら以外にも有期雇用社員については「引き続き雇用された期間が1年以上」という要件が撤廃されますので、この点も現在の就業規則を確認してください。

産後パパ育休(出生時育児休業)の創設(2022年10月1日施行)

子の出生後8週間以内に4週間まで取得可能になります。また、2回まで分割して取得できます。

育児休業制度の変更 (2022年10月1日施行)

出生後1年以内の育児休業について、2回まで分割して取得できます。

就業規則の変更

4月と10月施行のいずれの改正についても就業規則の変更が必要となります。
就業規則の変更だけでなく、社内の手続を経る時間も必要になりますので時間に余裕をもって取り組んでください。

女性活躍推進法(2022年4月1日施行)

女性活躍推進法では、女性の活躍推進の取組を着実に前進させるべく、国、地方公共団体、一般事
業主それぞれの責務を定め、雇用している、又は雇用しようとする女性労働者に対する活躍の推進
に関する取組を実施するよう努めることとされています。
 

常時雇用する労働者の数が101人以上(2022年3月31日までは301人以上)の事業主に対しては、
①自社の女性の活躍に関する状況把握、課題分析
②状況把握、課題分析を踏まえた行動計画の策定、社内周知、公表
③行動計画を策定した旨の都道府県労働局への届出
④女性の活躍に関する情報の公表
が義務づけられます。

雇用保険法(2022年1月1日)

マルチジョブホルダー制度

雇用保険マルチジョブホルダー制度は、複数の事業所で勤務する65歳以上の労働者がそのうち2つの事業所での勤務を合計して以下の適用対象者の要件を満たす場合に、本人からハローワークに申出を行うこで、申出を行った日から特例的に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)となることができる制度です。

 マルチ高年齢被保険者であった方が失業した場合には、一定の要件を満たせば、高年齢求職者給付金を一時金で受給することができます。
 給付額は、原則として、離職の日以前の6か月に支払われた賃金の合計※3を180で割って算出した金額(賃金日額)のおよそ5割~8割となる「基本手当日額」の30日分または50日分です。

社会保険制度の適用範囲の拡大(2022年10月1日)

現在常時雇用の従業員が501人以上の事業主が適用の対象となっている、パート・アルバイトへの社会保険加入義務が常時雇用の従業員が101人以上の事業主に適用されます。
※従業員数は、事業所単位ではなく法人単位でカウントする。
※常時雇用とは、①、②の条件を満たす社員

①(現場)正社員または正社員の労働時間の3/4以上の労働時間の有期契約社員またはパート社員
②①を満たさなくても、フルタイム勤務の有期契約社員・パート社員で以下の条件にすべて当てはまる者

  • 週の所定労働時間が20時間以上であること
  • 雇用期間が2カ月を超えることが見込まれること
  • 賃金月額が8.8万円以上(年収106万円以上)であること
  • 学生でないこと

該当する企業にとっては、社会保険料の負担が増大することになります。
従業員の今後の働き方の意向を確認しながら、慎重に進めていくことが必要になります。

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